星降る夜に。
出版社の営業がそんなところ行くもんなの?友達が近くに住んでるとか、そういうことでもなきゃ普通は行かないと思うけど。私たちだってそうじゃない?」


「言われてみればそうかも」


「しっかりしてよ。莉子、もしかしたら行く途中で高城さんに見られて尾けられてたのかもね」



あのときはとにかくバレないように、平静を装うだけで精一杯だった。

もし誠さんに尾けられていたとしたら、私はすでに疑われているということ?
もっとも彼にそういうことをさせているのは私なのだけれど。



「でもそれならそれで、高城さんとの生活を取るなら吉岡さんとはもう会わないほうがいいわね。いつバレるかも分からないし。もちろん吉岡さんを取るのもアリだけど」


「大輔さんにはもう会わないよ。会わない…」



再会したときにちゃんと断っておけば良かったのに、私にはそれが出来なかった。


連絡しなかった私に、彼がしびれを切らせて会いに来た。
ネックレスとお揃いのピアスとアンクレットをもらった。
大輔さんのバイクに乗せてもらってお台場へ行った。
毎週金曜日に会う約束をした。

彼の隣で過ごしたかった…。
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