星降る夜に。
「昼のメール…。結婚に向けて忙しくなるからもう会えない、ってやつ」


「もう時間が作れなくなるから…」



大輔さんからは何も返ってこない。

重たい沈黙だ。



みのりはもどかしそうに眉根を寄せて、渋い顔をしている。



「理由はそれだけ?」


「それだけ。理由も何も本当のことだから」


「…やっぱり俺にはなびいてくれなかったか」




大輔さんは苦笑しながらそう言った。


電話の向こうから小さなため息が聞こえる。



なびかなかったなんてことはない。
むしろ最初から彼になびいている。

正直に言いたい…。




「今週で最後でいい。金曜日、付き合ってくれよ。それと、これからちょっと会えないか」


「今はちょっと…」



会えないと言おうとしたら、急にみのりにスマホを取り上げられた。



「村田です。こんばんは。これから莉子と店を出ますから。…分かりました、それじゃあそこで」



知らない同士の会話じゃない。みのりは大輔さんと会ったことがあるの?知ってるの?
何が何だか分からないし整理出来ない。
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