星降る夜に。
「莉子、残ってるやつ飲んじゃってよ」



みのりはジョッキに半分ほど残っていたビールを一気に飲み干す。

わけが分からないまま、私はレモンサワーを流し込むように飲んだ。




「みのり、大輔さんを知ってるの?」


「知ってると言えば知ってる。でも莉子に比べたら全然よ。いいからほら、早く」



伝票を持って行こうとするみのりを追いかけようと、バッグを引っ付かんで慌ただしく立ち上がった。


一体いつ、大輔さんに会ったんだろう。何を話したんだろう。どうして…。




みのりに追いつくと、さっさとお会計を済まして外に出ようとしていた。



「みのり、待ってよ。どこ行くの」


「どこって、大輔さんのところに送って行くだけよ。莉子、もう会えないっていうならちゃんと理由を話すべきでしょ。高城さんのことだってそうよ。全部話して、それで初めて終わるの。男と女の間に理由のない別れなんてないと思うよ、私は」




みのりの言うことはもっともすぎて、何も言い返せなかった。


全部話す、か…。


誠さんと結婚する理由も?


大輔さんを好きなことも?



彼はどんな反応をするだろうか…。

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