星降る夜に。
…私が話すよりも先に、私のことを彼は知っているかも知れない?

姉やみのりが何を話したかは想像がつく。

問題はどこまで話したかということ。




大輔さんに手を引かれるままついて行くと、すぐに小さな公園に着いた。


誰もいない、明るいとは言えない街灯が灯る小さな公園。

私たちはベンチに並んで座った。
二人の間には何とも言えない距離がある。





「この前、大輔さんの家に行ったでしょ?帰りにマンションから出たところを婚約者に見られていて…。彼には配達をして直帰したって言った。大輔さんの家だとはバレてないと思う。だけどもし二人でいるところを見られたら、大輔さんに迷惑がかかる。それに…私は家族を守りたい」




息が詰まりそうになって大きく深呼吸をすると、大輔さんがそっと背中をさすってくれた。
背中越しに伝わる体温に安心する。




「姉から聞いたかも知れないけど…。私の実家は印刷所なの。だけど数年前、不況の煽りを受けて…倒産寸前まで追い込まれた。私は働いていたから生活を支えたし、貯金も…切り崩した。私にはそれしか出来なかったから。工場には姉の旦那さんもいるの。だから…」
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