星降る夜に。
思わず莉子の鎖骨に触れていた。

まるで莉子のために作ったかのように、とてもよく似合っている。



莉子はこの島に、お姉さんのプレゼントで来たという。

俺は横村に半ば強引に来させられたけど、こうして莉子と出会えたから来て良かったと思う。




莉子がどうしようもなく愛しくて、額にキスをしてしまった。

理由なんてない。ただ、したかったから。

普段はこんなことしないのに、相手が莉子だからだ。




「私、こんなことされたら突き飛ばすと思う。でも全然嫌じゃなかった」


「そんなこと言うと、もっとキスするぞ?」



次は唇に――――。

そんなことを思う自分がおかしくて、笑いながら莉子の手を取って歩いた。



「…いいよ、しても」



背中から小さい声がして立ち止まった。振り向くと莉子は恥ずかしそうに少しうつむいている。

体を近づけて、耳元に口を寄せた。



「莉子。それはもっと、夜になってからにしよう。俺は今すぐでもいいんだけど、ここはちょっと人が多いだろ?」



どうしてか、なんて分からないし説明も出来ない。ただどうしようもなく惹かれる。
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