星降る夜に。
「何見とれてんだよ。そんなにかっこよかった?」


「うん」


正直に答えると、大輔さんは「まいったな」と呟いて、照れたように頭を掻いた。



「莉子、何か艶っぽく見える」


「マッサージとフェイシャルエステと岩盤浴してきたの」


「マジか。フルコースだな。でも、もっと綺麗になった」


急に甘い声になるなんてズルい。その声だけで心を鷲掴みにされてしまう。

だけど褒められたことは素直に嬉しくて、笑顔になってしまった。



大輔さんは私の手を取るとスカイエリアへと向かった。ラウンジの半分が全面ガラス張りになっていて、海が一望出来る。

ちょうど夕日が沈みかけていて、カップルが多かった。

オレンジ色の夕日がまるで海に沈んでいくように見える。エメラルドグリーンの海もオレンジ色に染まっていく。



「うわぁ…綺麗」


まるで子どものようにガラスに張りついて見てしまった。


「莉子、ちょっとこっち向いて」


そう言われて大輔さんのほうを向くと、細長いケースを持っていた。
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