星降る夜に。
「分かった。伝えておくね。母が何着て行こうかって悩んでたよ」


「普通でいいから。僕もスーツなんて着ないし、ジーンズで行くよ」




いつからかこの人と一緒にいることが当たり前になった。彼を好きになった。でもそれって本当の感情だったのかな?そう思おうとしていたのかな?



「…子!莉子!」



名前を呼ばれてハッとする。考えごとはよくない。



「ぼーっとしちゃった。何?」


「今度の土曜日なんだけど、」


「ごめん。土曜日、約束しちゃったの。言うの忘れてた」



大輔さんと会える最後の日…。



「みのりちゃん?」


「ううん、違う人。結婚前にね、会っておこうって話になって」



もうみのりにアリバイ作りを頼みたくない。心配させたくないから。姉には自分が協力してもいいと言われたけれど、それも断った。



「ふーん…そうか。酔っ払わないようにね。莉子、そんなに飲めないんだから」


「分かってる」



誠さんが疑っているかどうか、見極めることは出来なかった。

疑われてもいい。これが最後だから。

土曜日を過ぎたら、大輔さんの連絡先は消す。ジュエリーももう身につけない。それで本当に終わりだ。




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