星降る夜に。
そんなに長いことBARにいた感覚はなかったけれど、気づくと日付が変わりそうな時刻だった。
私の部屋は東側、大輔さんは西側。遠回りになってしまうのに、心配だから部屋の前まで送ると言ってくれた。
「莉子、飲みすぎた?」
「そんなことないよ。頭がちょっとぽわーんとするくらい」
「それは酔ってるなぁ」
ふらつく私の手をしっかり引いてくれながら、大輔さんは少し前を歩く。
ロングアイランド・アイスティーとベリー系カクテルを飲んだだけなのにな…。
もっとお酒が強かったら、まだ大輔さんといられたのに。
私の部屋が近づいてきたとき、大輔さんは立ち止まって振り返った。
「そういえばキスするの忘れてた」
私は壁に押しつけられて、大輔さんが脚を割入れてくる。
息遣いが分かるほど顔が近づく。
反射的に目を閉じたら、瞼に柔らかい唇が触れた。
「莉子」
名前を呼ばれて目を開くと、熱を持った大輔さんの瞳の中に彼を見上げる私が映っていた。