星降る夜に。
夜はクルーザーでのナイトクルージングに参加した。
空一面に輝く星たちは今にも降ってきそうで、手を伸ばしたら届きそうな感覚になるほど間近に見える。
周りの女の子たちはオシャレをしているけど、私は着飾らなかった。
オシャレな服も持ってこなかったし、最後の夜だと意識したくなくて普段通りにした。
初日に来ていたブルーのチェック柄のマキシワンピースと、グレーの長袖のパーカー。
髪は後頭部の一番高いところでポニーテールにした。
仕事のときはいつもこのヘアスタイルだけど、プライベートではほとんどしない。
大輔さんは私の後ろに立って、ポニーテールを触っている。
時々手で髪を梳かしてくれて、その感じが心地良い。
「莉子、結んでても似合うよな」
「ありがとう」
もっと時間がゆっくり流れてくれたらいいのにな。少しの間だけでも時間が止まってくれたら――――。
現実味のないことをぼんやり考える自分に苦笑いしてしまう。
大輔さんは私の隣に来ると、腰に手を回してきた。