星降る夜に。



夜はクルーザーでのナイトクルージングに参加した。

空一面に輝く星たちは今にも降ってきそうで、手を伸ばしたら届きそうな感覚になるほど間近に見える。


周りの女の子たちはオシャレをしているけど、私は着飾らなかった。
オシャレな服も持ってこなかったし、最後の夜だと意識したくなくて普段通りにした。


初日に来ていたブルーのチェック柄のマキシワンピースと、グレーの長袖のパーカー。
髪は後頭部の一番高いところでポニーテールにした。

仕事のときはいつもこのヘアスタイルだけど、プライベートではほとんどしない。

大輔さんは私の後ろに立って、ポニーテールを触っている。
時々手で髪を梳かしてくれて、その感じが心地良い。



「莉子、結んでても似合うよな」


「ありがとう」



もっと時間がゆっくり流れてくれたらいいのにな。少しの間だけでも時間が止まってくれたら――――。
現実味のないことをぼんやり考える自分に苦笑いしてしまう。

大輔さんは私の隣に来ると、腰に手を回してきた。
< 28 / 171 >

この作品をシェア

pagetop