星降る夜に。
隣にいる彼を見上げる。

凸凹のはっきりした整った顔立ち。
首から肩にかけて、すっと流れるようなラインが素敵なんだ。

この腕の逞しさも知っている。
キスの仕方も。


私にとってはそれが彼の全て。
それでいいのに。欲張りになる。



「ねぇ、流れ星って見たことある?」


「ないな。都会にいたらまず見えないし。何、願いごとでもしたいの?」


「うん」



大輔さんにぴったり寄り添うと、気持ちが落ちついていく。



「どんな願いごと?」


「うーん…家族が幸せでいてくれるように、かな。そしたら私もちゃんと自分と向き合えるような気がするの」



この気持ちと正直に向き合いたいけれど、それは出来ない。

大輔さんに惹かれて、一線を越えて、この人を好きだということは分かっている。
だからこそ認めてはいけない。認めたら気持ちにブレーキをかけられなくなるから。



「莉子、流れ星なんて滅多に見られないし一瞬だぞ?自分のこと願ったらいいのに」
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