星降る夜に。
「じゃあ、大輔さんなら何を願うの?」


「莉子が俺のことを好きでいてくれるように願うよ」



大輔さんは大真面目な顔でそう言った。
どうしようもなく胸がときめく。

ここで好きだって言えたらいいのに。

それが出来ない代わりに私は大輔さんの肩につかまると、精一杯の背伸びをして頬にキスをした。

言葉に出来なくても、気持ちが伝わることを願って。







クルージングを終える頃にはすっかり夜が更けていた。

ホテルに戻る道を手をつないでゆっくり歩く。

涼しい夜風と虫の鳴き声、それからはしゃぐカップルたちの声。

大輔さんが急に立ち止まったので、私は前のめりになってしまった。



「莉子、東京でも会えないかな」



大輔さんの気持ちが真っ直ぐに伝わってきて胸が苦しくなる。
もっとおちゃらけて言ってくれたら良かったのに…。私をしっかりと見つめて、真面目すぎる表情をしている。



「すぐに付き合ってくれとか、そういうんじゃなくて…。それならそれで俺は嬉しいんだけど」
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