星降る夜に。
でもそんなのは誰もが抱くであろう感情のような気がした。

今更誰かに恋をしようなんて気持ちは―――。




砂浜に着くと腰を下ろした。

どこまでも広がる、透き通ったエメラルドグリーンの海。
波の音はとても落ちつく。

こんなふうに海を眺めるなんて、初めてかも知れない。


まだ5月初旬だというのに日差しが強くて、マキシワンピース一枚でちょうどいい。
ブルーのチェック柄で、姉が持たせてくれたものだ。

ホテルの部屋に置いてきたままのスーツケースはまだ、荷解きもしていない。

とにかく景色が見たくて、到着して早々に出てきてしまった。帽子も持たずに、お財布とスマホだけをポシェットに入れて。


とは言ってもリゾートは宿泊・利用料金が高い代わりに、いつでも自由に無料で飲食が出来る。ホテル内のレストランもビュッフェもルームサービスも。

だからお財布なんてなくても行動出来るのだ。



「綺麗だなぁ…」



こんな海なら泳いでみたい。
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