星降る夜に。
「それではお預かりします。ありがとうございました」



荷物を持って足早にお店を出る。

車のドアを開けようとしたとき、後ろから強い力で肩を掴まれた。
この手の感触と熱を、私は知っている。だけど知らないふりをしよう。お互いのために。



「莉子、これ、俺の名刺。いつでもいいから連絡して」


大輔さんは私のベストのポケットに名刺をねじ込んでくる。私はそれを無視して車のドアを開けると荷物を置いた。



「無視するなよ…。やっと会えたのに。俺、ずっと後悔してた。強引にでも連絡先を聞けば良かったって」



早く車に乗り込んでしまえば良かったのに、足が動かなかった。大輔さんの声が寂しそうで、胸が苦しくなる。


再会するなんて考えてもいなかった。これだけたくさんの人がいる東京で、本当に再会するなんて…。


私はあのとき、もしもまた出会うことがあるなら、それは運命以外の何ものでもないと思った。でもそれはあの島での夢の中にいたからで、今ここにいる現実の私はそんなことは認められなかった。
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