星降る夜に。
誠さんはそう言うと、鞄の中からパンフレットを取り出して渡してくれた。

再開発が進んで人気のエリアに建つ、高層マンション。

実家と職場から結構離れちゃうなぁ…。通勤が大変そうたけど、彼の実家には近いかな。



「マンションのローンは僕の給料から払うし、平社員だからそんなに高いところは買えないけど、将来のことを考えると部屋数はあったほうがいいよね」


「そうだね。ずっと住むところだし」



私は結婚後も仕事を続ける。
さすがに彼がそれなりのポストに就いたときには辞めなければいけないけれど、今の仕事が好きだし、せめて子どもが出来るまではと彼のご両親に話した。

幸い二人とも女性が働くことに理解があって、特に仕事を持っているお義母さんは応援してくれている。



「母さんが莉子に会いたがってたよ。日曜に会えるっていうのに、今夜だって一緒に連れてってくれって言われて」


誠さんは一人息子で、女の子も欲しかったというご両親は私を娘同然に可愛がってくれている。買い物に誘ってくれては服を買ってくれたり、出かけると必ずお土産を買ってきてくれたりする。
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