星降る夜に。
彼は私を見つけて、こちらに向かって歩いてくる。



「もう待ちくたびれたんですけど?宮坂さん」


「…何のことですか?」



私の顔を覗き込もうと、少し屈んで顔を近づけてくる大輔さんをかわすように顔をそむける。



「連絡先、渡しただろ。待てど暮らせどかかってこない。トイレにも風呂にもスマホ持って行ってるのに、全然かかってこない。嫌がらせか」


「嫌がらせって…意味分からないし」



私は大輔さんを振り切るように歩き出した。


正直、何度も連絡しようと思った。でも連絡して何をするっていうの?

会うつもりなんてないし、友達になれるとも思えない。



「莉子、どこ行くの?」


「食事しに。あの角の定食屋さん」


大輔さんは私のあとをついてくる。ついてくるなと言えばいいのに言えない。
こうして傍にいてくれるのは嬉しいし、その反面誰かに見られたら困るのは事実なのに。



「その制服似合うよなー。シャツのボタンがちょっと開いてるところもまたいい」


「ブラウスね」



今日もネックレスをしていることに気づいたけれど、もう後の祭りだ。
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