星降る夜に。
「莉子が、“夢を見に来た、恋をしに来たわけじゃない”って言ったとき、相手がいるんだろうなって思った。だから連絡先も聞かずに別れたんだ。でも再会した。莉子と縁があったんだなって思ったよ。…いつ結婚するの?」


「…10月下旬に」


「あと2ヶ月ちょいか」



重たい空気を消し去るように定食が運ばれてきた。いつもはお皿からこぼれそうなボリューム感に幸せになるけど、今はそれさえも感じないから不思議だ。

気の持ちようで見るもの、感じるものは変化する。



「莉子、こんな食うの?」


大輔さんは私の定食のご飯を見て目を丸くしている。



「うちはご飯大盛り無料なの。莉子ちゃんはいつもそうだから聞かなくてもコレよね」



おばちゃんの問いかけに恥ずかしくなりつつも、素直に頷く。


「こんなに食うイメージなかった」


「お昼だけはいつもしっかり食べるの。事務って言っても体力仕事だから、食べないともたなくて」


座っているだけならそんなにお腹は空かないけれど、荷物の仕分けや車への積み込みをしていると体力を使う分、お腹も空く。

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