星降る夜に。
みのりは信じられないという表情で私を見てくる。オシャレ好きのみのりからしたら、勝負服すらない私は論外なんだろう。



「バカ。女は着飾ってナンボじゃない。それにね、どうせなら綺麗な自分を憶えててもらうほうが得だと思うけど?」


「綺麗な自分…」


「制服ばっかりじゃ連れて行くところも限られるし、つまらないじゃん。せめて普段着に着替えるくらいしなよ。たしなみとして 」



そんなこと考えたこともなかった。

確かにいくら食事をするだけでも、ずっと制服というのはおかしいかも知れない。


特別なオシャレとまではいかなくても、リゾートのときのように少しは身奇麗にしようかな。


私の中の大輔さんは魅力のある印象ばかりだから、私もそうなりたい。


「莉子だって女なんだから、本当に好きな人に愛されたいっていう気持ちを忘れたらダメだよ」


「…ありがと」


「腐れ縁の友情があって良かったね」



みのりはいたずらっぽく舌をペロリと出して笑った。

大輔さんに気持ちは言えないけれど、せめてそれが伝わるように少しはオシャレをしよう。
女である私を憶えていてもらえるように。






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