星降る夜に。
新婚旅行はお互いの両親、私の姉家族とみんなで行くことになりそうだ。

あのリゾートにだけは行きたくないけれど。



誠さんの話をしているのに、大輔さんとこうして向かい合って話していると、彼に手を伸ばしたくなってしまう。

触りたくなってしまう。


そんな気持ちにすらなってはいけないのに。



「だったら毎日とは言わないけど、会えるだけ会ってほしい」


「それは…週一回の約束だし…」


「俺は会えるだけ会いたい」




真っ直ぐな瞳は決して揺らがない。

初めからそう。ストレートにただ私を求めてくれる。自分でも気づかないうちに、どんどん惹かれた。

東京に帰って彼のいない現実に戻り、あのときのことを消化したつもりだった。

だけど本当はそんなの全然出来ていない。だってこうして会うと、また惹かれていく。



「連絡して。待ってる」



私は何も言わずに彼に背中を向けて運転席へ向かおうとしたとき、こちらに歩いてくる誠さんの姿を見つけた。

誠さんはまだ私に気づいていない。今のうちに車に乗り込んでしまえばいいのに足が動かない。
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