星降る夜に。
身につけていればその分だけ、忘れられなくなる。



姉が持ってきてくれた鏡を見ると、鎖骨の間にパールがおさまっていた。

テーブルに置かれたままのハートのネックレスは、チェーンが絡まらないように姉が持ってくれていた。



「莉子、夕飯どうする?うちで食べて行くかもって、母さんに言ってあるけど。今日はメンチカツなの」


「お姉ちゃんの美味しいんだよね。食べて帰る」


「僕もちょっと食べたいんですけど」



誠さんは私の両親とも、姉家族とも上手く溶け込んで、仲が良い。

こんなふうに穏やかな場所で生きていくのは悪くない。
むしろ家庭というのはそのほうがいいんだろう。



「そうだ。明日、指輪見に行かない?お姉さん、明日って予定ありますか?」


「ないない!それじゃ由衣はパパにプール連れて行ってもらうといいわ」



プールと聞いて由衣は大喜びしている。

姉が一緒なら少しは心強い。誠さんと二人で大輔さんのところへ行くなんて絶対に嫌だから。



「そういえばお義兄ちゃん、出かけてるの?」


「飲みに行ってる。普段は忙しくて時間ないからね。こういうときくらい、ゆっくりさせてあげないと」
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