星降る夜に。
あと2ヶ月もしたら、私はこの人と結婚する。


“高城莉子”として、妻として生き始める。


家族が幸せでいられたら、私はそれでいい。それが一番だ。



大輔さんとの思い出は、彼への想いは、記憶の奥にしまっておけばいい。

いつでも取り出せる宝物として。

目を閉じればいつだって、私はあの思い出の中で過ごせる。



あと何回、大輔さんに会えるか分からない。
お互いに仕事もあるし、私は結婚の準備もある。


次に会えたら、そのときは少しくらい甘えてみたいな…。


あの腕に抱きしめられたい。息も出来ないほど強く。











翌日、誠さんと姉と一緒に大輔さんのお店へ行った。


大輔さんは一瞬表情を曇らせたけれど、すぐに仕事用の笑顔になった。

この前姉と来たことなど一言も言わずに、初対面を演じてくれた。



結婚指輪は傷がついても気にしなくていい、手軽なものが良かった。
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