星降る夜に。
仕事でも家事でも気にせず身につけられるもの。



プラチナはやっぱり高いなぁ…。


ダイヤはもう貰っているし、何の飾りもついていないシンプルなものでいい。


それでも誠さんと姉は意見が一致するようで、ずっと身につけるものだからこそ多少高くてもしっかりしたものがいいと言って、早くも従業員をつかまえてショーケースの中から色々と出してもらっていた。



私はやっぱり、リーズナブルで傷がつきにくいステンレスやチタンも気になる。


ショーケースの中からいくつか、大輔さんが出してくれる。


姉と誠さんは私から離れたショーケースを見ていた。




「莉子は細い作りの指輪が似合うと思う。指が長いからシンプルなものでも見栄えがいい」



「私は何でもいいんだけど…」


「俺は、うちの店で買ってほしい。そしたら嫌でも莉子は俺を忘れないだろ 」



大輔さんは真面目な顔をしていた。

そんなこと言われなくても、忘れられるわけがない。


ただ思い出さないように、やり過ごすしかないんだ。



「莉子」
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