裏の世界の地味子
一章/地味子らいふ
野乃朱莉
五月―――
だいぶこの学園生活にも慣れてきた今日この頃。
野乃朱莉と書いてやのあかりと読む。
よく初対面の人には『ののあかり』と呼ばれる。病院がいい例だ。
まあそこから、私のあだ名は『のの』だ。
あだ名ってか、親しい人はそう呼んでいる。
だって、こんな『地味』な私に話しかけてくる人なんてほとんどいない。
まあ。ふたりを除いては……。
「ののっ!おはよ!」
「うい~っす!」
「蘭、小太郎、おはよ」
木崎蘭(きざきらん)私の幼馴染。幼稚園からずっと一緒で私の一番の理解者。
嵐小太郎(あらしこたろう)中学で知り合った友達。まあ。色々な関係があって親しい仲だ。