ためらうよりも、早く。
少しひんやりとした空気が、暑い夏の終わりを告げるかのように穏やかな朝のこと。
母のテーブル・コーディネートも、爽やかな青色から落ち着いた暖色系の色味へと変化しつつある。
「はああああ!?」
朝から発声練習かい、と突っ込みかけたが「のん」と窘めるに留めておいた。
ちなみに今朝のテーマは深紅とウォーム・ピンクを駆使した、“遅咲きラブ”らしい。
テーブル上に飾られている花もまた、花言葉が愛情にまつわるものばかり。
これには盛大に溜め息を吐いてしまったが、母ラブの父のご機嫌ぶりに口は噤んでおいた。
だがしかし、その理由を知った子は黙っていられなかった模様。——素直は損にも働くのに。
「なんでいきなり結婚なの!?」