ためらうよりも、早く。
でも、みっともなくたって構わない。情けなくても構わない。何の弁明をする気もゼロよ。
もう独りじゃいられない。ひとたび孤独感を覚えてしまうと、妙な焦りが生じてしまうのは本当だった。
もうニコチンやお酒じゃ、心にぽっかり空いた穴を埋めるツールにはならない。依存してもきっと、この空虚感は埋まらないだろう。
同時に分かってしまったこと。――それは、つかず離れずにきた風船男の存在が大きな精神安定剤だった事実だ。
私とのん、尭と祐史で過ごす時は、どんなに悪態をつこうが居心地の良いものだった。
ストレス解消とか利害とか、そんな煩わしい目的は一切ない。だからこそ、手放したくなかった。
けれども、一刻も早く未練を良い思い出に変えるには、自分から動き出さなければならない。事態は急を要するもの。
恋愛沙汰について振り返ってみると、付き合いから身体を許して振られたのも、……ぜんぶ祐史が初めてだった。
それ以降は、ごく最近まで振る側に徹していたのだ。それでヤツに対して、妙なコンプレックスを抱いている感も否めないが。