ためらうよりも、早く。
言葉なんてイラナイ。——安っぽい戯れ言の応酬よりも、確かなぬくもりを通して伝わるものがあるのなら……。
「でも、さっきの昔話、斬新な告白だったでしょ?」
「ウザ、自画自賛すんなっての」
チッと舌打ちをしたが、頬や目元にキスと舌舐めずりが交互に振ってくる悪循環である。
そして満足した男の膝上にまんまと乗せられ、肩に背後から逞しい両腕が回されていた。
「今日くらい仕方ない。ずっと考えてきた最高傑作に救われたんだ。
――難攻不落な柚ちゃんの牙城を崩すには、大きな張り手と猫だましの両刀使いが必要とされるしね」
「阿呆」と間髪入れずに呟けば、くすくす笑って祐史が私の肩口に顔を近づけてくる。
「阿呆と馬鹿の世界一だよ?諦めろ」
「ハッ、宇宙一よ」
「わーお。ほんと救われねぇー」
そんな男がけらけら笑うと、あたたかい吐息が耳にかかって少々くすぐったい。
この重みも、温度も、香りも、低い声も、今の反応だってそう。
今あるすべては、一歩踏み出さなければ、あのまま昔の思い出限りに終わっていたものだ。