ためらうよりも、早く。


暫くして、「準備出来た?」と絶妙なタイミングで尋ねられたので頷くと、彼はそこで立ち上がり私のもとへとやって来た。



「じゃあ、今から柚希んち行くよ。もう連絡してあるから、皆待ってるらしいけど。
おじさんも出張らしいじゃん。いま会えば話も済むからふたりで来いって。
それから、俺の実家は柚ちゃんの出張帰りに空港まで迎えに行くから直で会ってくれる?
なんか親父のスケジュールに合わせて申し訳ないけど、それが最短らしくてさぁ」


「はあ!?いま何時だと思ってんの?午前0時30分よ!?って、ちょっと待って。
いや、待ちなさい。……はっきり聞くわ。まさか、明日のお見合い相手って、」

非常識な時間帯に家族総出で待っていると言われ、それに喫驚したのも束の間。


すらすらと言われたフレーズから紐解いていくと、すぐに合点がいった。——合理的な相手がコレか、と。


騙されていた事実を前にして私は、ハハハと乾いた笑いを浮かべる外ないだろう。


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