ためらうよりも、早く。
社会に出てから特に、時間の経過の早さには驚かされている。こんな風に感じるのも、年を取った証拠だろう。
1時間なんて溜め息をついた時には経っており、足が疲れたと感じればそれは夕方に近いサイン。
こうして日々あっという間に過ぎているにもかかわらず、心のもやもやした感情は燻って一向に消えない。
これはもしかすると、中途半端な関係が巻き起こした“間違い”の成れの果てか……?
福岡での視察や打ち合わせを順々に終え、最終便の飛行機で東京に舞い戻るため、私たちは機上の人となっていた。
福岡支社の方々には食事を誘われたが、泣く泣く断ったのだ。出張者の誰もが、もつ鍋などの福岡グルメを満喫したかったが仕方ない。
平日ラスト便ともあって、空席もちらほら目に入る。到着予定時刻は日付の変わる1時間前、と機内アナウンスが流れたところ。
日頃の疲労も相俟って、横並びのシートに座った彼らが機内で惰眠を貪る中、眠れない私は資料をテーブルに広げている。
いや、その仕事も手つかずで放置状態。そのクセ、ある言葉に苛まれており、フラストレーションだけが蓄積するばかり。
煩わしい思いを振ろうと切目を閉じようとするが、今度は嫌味な顔が浮かびまたイライラ。……ああ全部、アイツが悪い!