ためらうよりも、早く。
深夜帰宅の早朝出勤が続いて寝不足だし、週末に開催される女子会に不参加を表明せざるを得なくても仕方ない。
友人たちはSNS上で残念だと言ってくれたが、いま優先すべきは目の前に積まれた課題をこなすこと。
男よりも大切な女友達との時間の余裕が作れないなんて、とうとう女失格だと痛感させられた。
ただ私生活でフラストレーションを抱えるより、仕事で疲労感に見舞われている方がメンタル面ではよほど楽である。
「出張からお戻りになられたら、一度休暇をお作り下さいね」
水橋さんからはやんわりと指摘されたものの、笑顔で貴女のお茶があれば問題ないわとかわした。
その発言は、ワーカホリックにならないでと暗に告げていたが、それも良いなとさえ感じている。
もうすぐ30歳を迎えるにあたり、独り身の私が選ぶべきは仕事ということだろう。
――それなのに、この状況は一体どういうことか説明して頂きたいわ。
「どうした?そんな怖い顔して」
「おあいにくさま、この顔は元々よ。で、どういうつもり?」
にっこり笑って返すのは朝飯前の私でも、その相手や場合によっては苛立ちは隠さない。