Revive

屋上の2人



「秋山とどんな話をしたんだ!?」

朝、教室に入るとすぐに田口と磯谷が寄ってきた。
昨日、僕と秋山が一緒に帰ったことを知っている2人は
気になって仕方ないらしい。
気持ちは分かるが、どんな話と聞かれても困る。

「秋山になんて言われたんだ?
まさか告白・・・」

磯谷がそう言うので僕は笑って否定した。

「秋山が僕のことを好きになるはずがないだろ。」

僕は自分でそう言うと、たしかにその通りだと思った。
よく考えてみれば、僕が女子にモテたことなどない。

その時、「おはよう」という声がして
僕はドキッとした。
僕達の後ろに秋山が立っていた。

「お・おはよう」

ダメだ。秋山を見ると意識してしまう。
昨日の帰り道のことを思い出してしまう。

秋山はそれ以上何も言わず席に向かった。
チャイムが鳴ったので僕達も急いで自分の席に座る。
隣にいる秋山はいつも通りだった。
それから、田口と磯谷が秋山の話を聞いてくることはなかった。
いつものように授業を受けて、
昼休み、昼食を済ませると田口達とサッカーをするために外へ出る。
最近は田口達や他のクラスの生徒達と一緒にサッカーをするか、
雨の日は体育館でバスケだった。ほとんどが田口と磯谷の部活仲間だ。

「あ、ちょっとトイレ!」

僕がそういうと、田口達は先に行っていると言い、
走って行ってしまった。
僕はそのまま1人でトイレへ向かった。
その途中、前の階段を1人の生徒が登っていくのが見えた。
あの階段は屋上へ繋がる階段だった。
一瞬だけ顔が見えた。
右目に眼帯。
僕はその時、不思議な気持ちになる。
僕が1番最初に名前を聞いた男子だ。
眼帯をした彼の名は、たしか・・・


夢野類?


僕は初めて夢野に会った時のことを思い出した。

急いでトイレへ向かった。
僕はいつの間にか彼のことを忘れかけていた気がする。
夢野は僕の後ろの席にいる。
それなのに、僕は一瞬名前すら出てこなかった。

そういえば夢野はいつも授業が終わるとすぐに教室から出ていく。
だから僕が振り向いても夢野はそこにいなかった。

トイレから出た僕は、さっきの階段を見上げた。
屋上に行ったのか。僕は、気付いたら階段を登っていた。












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