Revive



屋上に繋がる扉を開けた。気持ちの良い風が吹き抜ける。
僕は屋上を歩く。
夢野類はすぐに見つかった。
仰向けに寝転がり本を読んでいた。
まだ僕に気付いていない。
僕は夢野に近付き、隣に座った。

「こんな所にいたんだ」

僕のその声で、夢野は少し驚いたようだった。
本を読むのをやめ起き上がる。
一瞬、扉の方を見た気がした。

「何しに来たんだ?」

夢野はそう言うと、警戒するように僕を見る。

「夢野の姿が見えたから。
いつもここに来てるの?
あ、なんか久しぶりだね。話すの。」

僕がそう言うと夢野は溜め息をつく。

「話すことは何もない」

夢野はそう言うと僕から離れようとする。

そうだ。
僕は最初、夢野と友達になりたいと思っていた。
だからあの時僕は夢野に名前を聞いた。
約1ヵ月前。
それから話しかけるタイミングすらなかった。

「はじめて夢野に会った時、
友達になりたいって思ってた。
だからあの時、名前を聞いたんだ。
そしたら夢野と同じクラスで、
しかも僕の後ろの席にいた時は驚いたよ。
でも、夢野は授業が終わるとすぐに教室から出ていくだろ?
授業中は無理だったし、
話しかけるタイミングがなくて・・・」

僕は思っていることをそのまま話していた。
夢野は溜め息をついた。

「俺は1人が好きなんだ」

夢野はゆっくりと言った。
そう言われてしまうとここに居づらくなってしまう。
1人が好きなのは行動で何となく分かっていたが、
僕はそんな夢野のことが気になる。
それがなぜなのかは分からない。

「少し話をすることもダメなのか?」

僕がそう言うと、背後から声がした。

「まさか・・・空野!?」

その声で僕達は扉の方を見た。

扉の前に隣のクラスの男子、霧島直樹が立っていた。
霧島とは最近仲良くなった1人で
田口達と同じサッカー部所属であり、
昼休みに一緒にサッカーをするようになった。

「お前がなかなか来ないから、
まさかとは思って来てみたら・・・。
田口と磯谷の奴、何してるんだ。」

霧島は、僕の隣にいる夢野をチラッと見ると
すぐに目を反らし、僕を睨み付ける。

「こんな所で何してるんだ?
サッカーはどうした?」

霧島の様子がおかしい。
僕がここにいると何かまずいことでもあるのだろうか。












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