Revive
授業が終わり、僕は屋上へと向かっていた。
昼休み、ここに来れば夢野がいる。
田口や磯谷、夢野にまで近付くなと言われているが
僕はそれでも放っておけなかった。
僕は夢野に聞きたいことが沢山ある。
僕は扉を開けた。
しかし、屋上に夢野はいなかった。
「あ・あれ?」
僕は仕方なく、屋上から空を見上げた。
白い雲がゆっくりと流れていく。
前の学校にいた時は、
こうして屋上で空を見たことなどなかった。
気持ちの良い風が吹く。
校庭でサッカーをしている様子が良く見えた。
この前まで、僕はあそこにいたのに。
ここにはもう夢野は来ないのだろうか。
僕はまた1人になった。
そう思いながら屋上から下を見下ろす。
夢野は1人が好きだと言っていた。
1人でいることが好きだと。
しかし、僕は1人でいることが堪えられない。
人はもちろん1人では生きていけないし、
話を聞いてくれる人は必ず必要なんだ。
自分1人だけだと思い込み、孤独に陥ると・・・
僕はこの高さから飛び降りたらどうなるかを考えていた。
もちろん飛び降りるつもりはない。
「死ぬつもりか?」
後ろから声がした。
夢野の声だった。
僕はハッとして後ろを振り向いた。
「そ・そんなわけないだろ」
僕がそう言うと、夢野は目を細めて僕を見る。
「じゃあ、そんな所で何してる?」
夢野はそう言うと、横になり本を読み始めた。
「聞きたいことがあるんだけど、良いかな?」
僕は夢野に聞いた。
「なんだよ」
夢野は本を読みながら言う。
「僕が夢野に会った時から、
みんな夢野のことを避けている。
話をしようとしない。
田口も磯谷も、他の生徒も、みんな避けてる。
俺も、近づいたり関わったりしないようにって言われた。
田口は夢野のことが嫌いだとも言っていたし、
それに、夢野も僕のことを避けているよね。」
そして今は田口や磯谷も僕を避け始めている。
「まず、お前がこの屋上に来たことが間違いだった。」
夢野はそう言うとチラッと僕を見る。
「俺と2人きりにさえならなければ良かったんだ。
そのことを他の奴らも望んでいたし、
俺もその方が良いと思っていた。」
言っている意味が全く分からなかった。
僕が夢野と一緒にいてはいけない理由を知りたいのに。
「その理由を僕が知ることはできないのかな?」
僕の言葉に夢野は頷いた。