Revive


また一緒に帰ることになった僕と秋山は、
学校の近くにある公園に向かって歩いていた。
僕の帰る道とは反対の道を歩いている。
しばらくすると思っていたより大きめの公園が見えてきた。
夢野には、秋山と2人で帰る約束をしたと言ってある。
秋山が2人きりで帰りたいと言ってきたので仕方ない。
そのうち3人で帰ることもできるだろうか。
そんなことを考えながら公園の中を歩いていく。
途中にベンチが見えてきたので秋山と僕はそこに座った。

「・・・・・。」

静かな公園、いや、静かすぎる気もする。
風で木が揺れる音がする。

「この前、空野君が言ってた恋ノートの話。」

秋山が言う。ここで恋ノートの話が出てくるとは思わなかった。

「もしかして、欲しくなったとか?」

僕はハハッと笑った。

「違う!言ったでしょ?私はそういうの信じない。」

秋山が必死に否定するのを見て僕はおかしくなった。

「ははは。分かってるよ」

僕は空を見上げた。

「・・・。そんなノートに好きな人のことを書いても、
自分の想いを書いても、その気持ちは相手には伝わらないし、
気付いてもらえない。結局、何も変わらない。
だから、直接言うしかないの。
好きだって。」

秋山は僕を見た。
たしかに秋山の言う通りだ。
自分の気持ちを伝えるためには告白をするしかない。


「私は空野君のことが好き」



僕は耳を疑った。
あまりにも突然過ぎて信じられない気持ちになる。

「秋山。そ・それは本気で?」

額から汗が出てくる。

「本当は、出会った時から。
一目惚れだったのかもしれない。」

一目惚れ。
僕はその言葉を聞いて顔が熱くなる。

「それなら僕も、一目惚れだ。
初めて秋山を見た時から・・・」

僕がそう言うと、秋山は嬉しそう笑う。

「本当!?嬉しい!じゃあ私達・・・」

僕は信じられなかった。僕がこんな可愛い女の子と付き合えるなんて。
しかも、秋山はクラスの人気者。
夢でも見てるみたいだ。

「緊張した~。私、告白したのはじめて・・・」

秋山はホッとしたように胸に手をあてた。

僕なんか告白をしたことも、されたこともない。
秋山は今まで何人もの男子に告白されてきたはずだ。
あの田口や磯谷だって秋山のことが好きだ。
あの2人から秋山の話は何度も聞いてる。
みんなが知ったらどう思うだろう。

「秋山が僕と付き合ってることが分かったら、みんな驚くよ」

僕が言うと、秋山は不思議そうな顔をした。

「だって秋山のこと好きな男子なんていっぱいいるし。
それに相手は僕だ。秋山にはもっと・・・」

僕はそう言いかけてやめた。
秋山は俯いている。

「そんなことないよ。」

秋山は下を向いたまま動かない。
僕は余計なことを言ってしまったかもしれない。

秋山はそっと僕の手を握ってくる。

「空野君は他の人とは違う。
素敵な人だから。」

僕は秋山と見つめ合った。


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