Revive
予想外の出来事
夢野はその日、ずっと屋上にいて教室に戻ってくることはなかった。
今日はもう1日サボりたい気分だと言い、屋上から出ようとしなかった。
僕は今日の帰りも秋山と帰る約束をしている。
秋山が明日の話をしてきた。
「明日も一緒に学校に行こうね。
空野君が良ければ、
これからは毎日・・・」
秋山はそう言うと僕の手を握る。
秋山は僕と歩く時に手を繋ぎたがる。
朝もそうだが、帰りもだった。
嫌ではないのだが、僕は今まで女子と手を繋いで歩いたことがないし
慣れていないせいで落ち着かない。
それに他の生徒達にも見られる。
これを拒めば秋山は傷付くだろうか。
「空野君、もしかして、手繋ぐの嫌?」
僕は帰り道、突然秋山にそう言われてドキッとした。
「な・なんで?」
僕は秋山を見る。
「なんとなく・・・。
そんな顔してるから」
僕はそんな顔をしながら歩いていたのか。
「違うよ!ただ、僕が慣れてないだけで・・・」
僕は必死で否定した。
「空野君と少しでも多く・・・
一緒にいたいし、触れていたい。」
秋山がここまで積極的に色々と話をしてくるのが意外だった。
そもそも秋山から僕に告白してきたことが意外だったが。
いや、僕が何も言わなすぎるだけだ。
だからモテたことがないんだ、僕は。
夕陽が沈む。1日が終わろうとしていることを空が教えてくれる。。
「また明日」という言葉で僕達は別れ、
今日とはまた違う明日に向かって、再び歩き出す。
もしかしたら、今日が僕の人生で最も素晴らしい日だったのかもしれない。
「空野君!」
名前を呼ばれ振り向くと、秋山が僕の頬にキスをした。
「・・・え?」
僕は頬に手を当て何が起きたのか理解するのに時間がかかった。
「空野君は大丈夫だよね」
秋山はそう言うと、もう1度「また明日」と言って走っていった。
キスの意味を理解出来なかったが、今はそれどころではなかった。
秋山は目に涙を浮かべているように見えて、少し心配になったが
僕の気のせいだと思うことにした。