Revive
僕は屋上に来た。
「夢野」
名前を呼ぶと夢野が僕に気付く。
「・・・」
夢野はしばらく何も言わずに僕を見たが、
フッと笑った。
「もうここには来ないのかと思ってたんだけどな」
夢野はそう言うと仰向けになったまま空を見上げた。
「どうしてそう思ったんだ?」
僕は無表情のまま聞いた。
夢野も無表情だった。
「秋山に告白されたって話を聞いた時から・・・
予想はしてた。
あいつらの考えていることはだいたい分かる。」
黒い雲が空を覆っていた。雨が降りだしそうだ。
「今、お前がここにいるってことは・・・
秋山から逃げてきたのか?」
夢野は面白そうに笑う。しかし、目は笑っていなかった。
「夢野。秋山は何を考えてると思う?」
僕はだいたい分かっていた。
だが、自分の口からは言いたくなかった。
「秋山が告白したのも、秋山がいつもお前の側にいるのも全て、
お前が俺に近付かないようにさせるための行動だということ。」
夢野はハッキリと言った。
「つ・つまり、秋山も、田口や磯谷達と同じだった・・・」
僕がそう言うと雷が鳴った。
「当たり前だ!」
夢野は力強く言った。
「違う!秋山はそんな奴じゃ・・・」
僕がそう言うと夢野は僕を睨む。
「秋山を信じて俺に近付かないことだ・・・。
秋山のことが好きなんだろ?
好きな女の言うことを聞かないつもりか?」
夢野の言葉に僕はしばらく黙ったまま俯いた。
たしかに、秋山が僕に告白してくるなんておかしいと思ってた。
秋山は他の奴らとは違うって思ってたのに。
いや、僕が勝手にそう思い込んでいただけなんだ。
それに、夢野自身が僕に近付くなと言っている。
それでも、ずっと1人でいる夢野を放っておくことができない。
この感情は何なのだろう。
「予想的中」
夢野がそう言うと雨が降り始めた。
「俺の嫌いな空だ」
夢野はそう言うと、雨に打たれながら空をじっと見つめていた。