Revive
なぜこの学校の生徒が夢野を避けるのか、だいたい理解できた。
「転校生が来るって知った日に、
俺達は約束をしたんだ。
転校生は青木がいた席に座ることになる。
そこしか空いてないからな。
だから俺達は転校生に、少しでも夢野に近付かないようにさせること
そして夢野には、転校生に絶対に近付かないことを約束した。」
磯谷は僕に言う。
「俺達は空野のことを考えた上で行動をしたんだ。
それなのに、空野は夢野に近付こうとする。
だから俺達は諦めた。
俺達だってこれ以上夢野に関わって死にたくはないからな」
磯谷はそこまで言うと、自分の席に座った。
「・・・・・僕は夢野の側にいた。
でも僕はこの通り、死んでない。
そうだろ?」
僕は両手を広げてみせた。
「だいたい、触れただけで死ぬなんて有り得ないだろ?」
僕はそう言うと誰も何も言わなかった。
「それ以外の方法もあるかもしれない・・・」
伊達は小さな声で言った。
「秋山さん、君も空野君と同じになるのかい?
君だって分かってるだろ?
夢野に近付けば直弥と同じ目に合う。
悪い噂は他にも沢山あるじゃないか。
僕はこれ以上、友達を失いたくないんだよ」
伊達の言葉に秋山の顔色が悪くなる。
「伊達の言う通り、
俺には近付かない方が良いと自分でも思ってる。
俺は昔から多くの死を目の当たりにしてきた。
きっと俺が側にいると人が死ぬんだ。
そう思うようにもなった。」
夢野は自分の両手を見つめる。
「それに、空野が生きているのは、
俺の側にいるだけで、まだ触れてはいないからかもしれない」
僕は夢野の言葉を聞いて驚いた。
「夢野、本気で言ってるのか!?」
僕は力強く夢野の肩を掴んだ。
「どうだ!?今僕は、夢野に触れてる!
僕は死ぬのか?いつ?どこで、どんな風に!?」
教室が静まりかえると、チャイムの音が鳴った。
先生が教室に入ってくると、最初に僕と目が合った。
「?みんなどうした?そんな暗い顔して。」
先生の言葉を聞くと、夢野は僕の手を払って自分の席に向かった。
僕は今このクラスで起きた出来事が信じられず、
そして不思議な気持ちになり、その場から動けなかった。
「空野?どうした?」
先生の声で僕は今、教室の前で1人で立っていることに気付いた。
「先生・・・僕は・・・」
僕はそう言いかけて黙りこんだ。
このクラス、いや、この学校はおかしい。
僕は今ハッキリと、そう思った。