Revive
お互いの過去
授業が終わると、すぐに夢野は教室から出ていった。
僕は急いで夢野を追った。
「夢野!」
名前を呼んでも夢野は反応しなかった。
僕は夢野に追いつき、しばらくお互い無言のまま歩いた。
外は雨があがり、雲の隙間から太陽が顔を出していた。
夢野の表情からは何を考えているのか読み取れなかったが
僕はそのまま一緒に歩き続けることにした。
何も言わず、黙って歩いていると、
夢野が口を開いた。
「死ぬのが怖いか?」
夢野はそう言ったので僕は笑ってしまった。
「バカだな。あんな話信じるわけないだろ?」
そう言うと、夢野は少しだけ微笑んだ。
「もう・・・隠していても仕方がないな」
夢野は低い声で言った。
「俺の噂が広まったのは青木が死ぬ前からだった。
中学時代から、いや、もっと前から噂はあった。
俺に触れた者はみんな死ぬ・・・
そんなバカらしい噂が流れたのも、
俺の両親の死と3人の医者の死・・・
そして・・・」
夢野はそこまで言うとしばらく黙った。
「そして・・・この眼帯・・・」
夢野は右目の眼帯に触れる。
「眼帯・・・?」
そういえば夢野は出逢った時から右目に眼帯をしている。
それが何故なのか考えたことはなかった。
「俺に触れた者はみんな死ぬという噂は間違いだ」
夢野は不気味な笑みを浮かべた。
「俺にただ触れるだけでは死なないんだ。
ただし、俺がこの眼帯を外し、
この右目を見た者、もしくは触れた者は
みんな死ぬ!!
俺はそれを確信している!」
夢野は手で眼帯をした右目を抑えて笑う。
夢野の左目が僕の目を睨み付ける。
僕はゾクッとした。
そして突然頭痛がした。
「!?」
僕は頭を抑え、立ち止まり痛みを堪えた。
「どうした!?大丈夫か!?」
夢野は我に返ったように僕に近寄った。
「た・多分、屋上で雨に濡れたから・・・風邪・・・」
目眩がし、意識が遠くなるのを感じた。。
(まさか・・・死・・・?)
一瞬そんな事が頭を過った。
みんなが言っていたように、
僕は夢野に触れたから死ぬのか?
そんなはずはない。みんなの言葉も
夢野の言葉も、
僕は信じない。
「夢野・・・。
そんな噂や考え方は、僕が消してみせる。」
僕は、夢野にしがみついた。
夢野は驚いた顔で僕を見ている。
僕はその場に倒れた。
夢野が僕の名前を何度も呼ぶ声が遠くで聞こえた。