Revive
青い目
朝になった。僕は一睡もせずに夢野の部屋の天井をずっと眺めていた。
それから僕達は2人で、夢野の家から学校へ向かった。
家から出る前に、新一さんが小さな紙切れを僕にそっと渡してきた。
僕はよく分からなかったが、とりあえず受け取ってポケットの中に入れた。
「ほんと夢野には迷惑かけたな。新一さんにも。
ありがとう。」
僕が歩きながらそう言った時、夢野は黙ったままずっと空を見上げていた。
今日の空はいつもより青い。初めて夢野と出会った時もこんな空だった。
僕は空を見上げる夢野の瞳を見ていた。
青くて綺麗な目だった。
僕はまるで、その目に吸い込まれるように
夢野から目が離せなかった。
僕が見ていることに気付いた夢野は不思議そうな顔をする。
「なんだよ?」
「綺麗だ・・・綺麗な瞳。
綺麗なブルーの瞳・・・」
僕はハッとした。
「あ、ちょっと待って!」
僕は自分の鞄の中から何冊かノートを取り出した。
そして、ピンク色のノートを見つけた。
「夢野。恋ノートって知ってるか?」
僕はピンクのノートを夢野に見せた。
「なんだよ。お前、そういうのが趣味なのか?」
夢野は僕を軽蔑したような目で見てきた。
「ちっ、違うよ!拾ったんだよ!
転校してきた初日に、道に落ちてたんだよ。
これさ、恋ノートっていうんだよ。
女子達の間で流行ってるらしくてさ、
簡単に言うと、このノートに
好きな人のことを書くだけで恋が叶っちゃうっていう・・・」
僕はそう言って恋ノートの1ページ目を見た。
夢野がノートを覗く。
「なんて書いてあるんだ?」
僕は心の中で1ページ目に書かれた文字を読む。
【私には好きな人がいます
彼は、優しい瞳をしています。
晴れた日の、
青い空を見ると、
いつも彼のことを思い出します。
彼は綺麗なブルーの瞳をしています】
「このノートさ、学校に行く途中で拾ったんだから
僕達の学校の生徒の物かもしれないよな?」
僕はノートに書かれた文章を指差した。
「これ、彼は綺麗なブルーの瞳をしていますって・・・
これって夢野のことだったりしてな!」
僕がそう言うと夢野は溜め息をつく。
「バカだな。そんなわけないだろ」
僕はノートを閉じた。
「でもさ、夢野の目ってよく見ると青いんだよな。」
僕は歩きながら言った。
「これは母親の遺伝だ。そんなことより、
そのノートどうするつもりだよ」
夢野は僕が持つノートを見て言った。
「持ち主が分かれば返せるんだけどなぁ。
名前書いてないし。」
気付いたら僕達はもう学校の近くを歩いていた。
「でも面白いよな。こういうノートを信じてる人もいるんだもんな」
僕はノートを鞄に入れた。