Revive
それから僕はしばらく自分の部屋で、拾った恋ノートを見ていた。
この恋ノートは秋山が落としたノートだったということか?
もし秋山がこのノートを落としたのなら
さっき教室で見たノートは、新しく買った恋ノート・・・
あのノートには僕が今持っているノートと全く同じ文章が書かれていた。
「でも秋山は恋ノートを知らないって言ってたし
信じないって言ってたじゃないか」
僕はしばらく考え、溜め息をついてフッと笑った。
「秋山には嘘をつかれてばかりだな」
あのノートには
【彼は綺麗なブルーの瞳をしています】のあとに
【しかし、みんなが彼を恐れています】
【私は彼に、触れることができません】
と書かれていた。
僕の頭に夢野が浮かんだ。
僕の予想は当たっていたじゃないか。
僕はノートを閉じた。
そして、教室で見た秋山の顔を思い出し、切なくなった。
本当は夢野を、避けたくないのだ。
僕は秋山に告白され、そしてキスまでされた。
しかしその時の秋山の気持ちを考えると切なくなる。
夢野が言っていた通り秋山は、僕が夢野に近付かないようにするための行動として
僕に嘘の告白をし、付き合うということを考えたのだ。
付き合っていつも2人で一緒にいれば、僕が夢野に近付こうとする心配はなくなるだろうと思ったのだ。
クラスのみんなはそれを知っていたんだ。
あの秋山に彼氏ができたと知ればみんなきっと大騒ぎになる。
それなのに、僕と秋山が付き合っていても誰も驚かなかった。
あの恋ノートに書かれている秋山の気持ちが、本当の真実だ。
ノートに書かれていた文章、
【しかし、みんなが彼を恐れています】
【私は彼に、触れることができません】
つまり、みんなが夢野を恐れずに、そして触れられる日がくることを
秋山はずっと1人で望んできたのだろう。
あれは、誰にも言えない彼女の心の叫びのように感じる。
それを知ってしまった僕に、できることは1つしかないと思った。