Revive
消えていくもの

母親



少年が出てくる夢を、僕はいつから見ていたのだろう。
あの少年は間違いなく夢野だ。
僕がこの学校に転校してくる前から見ていたことは確かだから、
【予知夢】と同じようなものだろうか。
僕が近いうちに転校をし、そこで夢野と出会うことを予知した。
しかしあの夢は、実際に起きた出来事だ。
僕は夢で過去を見ることができたんだ。
自分ではなく夢野の過去を。しかし、未来を見たことはない。

僕は教室に入った。
自分の席に座り僕はそっと教室を見渡す。
皆がいくつかのグループに分かれて
お喋りをしている姿を見て僕はすぐに目を反らした。
普通の光景にも見えるが、このクラスは異常なんだ。
しかしそれ以上に、みんなは僕のことを異常だと思っているに違いない。
このクラスの担任が教室に入ってきた。
先生が夢野のことをどう思っているかなんて聞けなかった。
周りの生徒と同じ反応をされたらどんな顔をすれば良い。
とても恐ろしくて聞けない。



「空野・・・」

3限の授業が終わった時、後ろから声がした。
僕は振り向くと、夢野が窓の方を指さしていた。
僕は窓の外を見ると、雨が激しく降っていた。
灰色の空が広がっていた。

「あーあ。酷い雨だな。
昼休みまでにはやむかな」

僕がそう言うと空がピカッと光った。
雷の音が聞こえる。
夢野は窓の外を睨んでいた。

雨がやむことはなく、昼休みになると更に激しさを増した。

「今日は屋上には行けないな」

僕はパンを食べながら言った。

「雷の音を聞くと、いつも嫌な予感がするんだ」

夢野は窓の外をじっと見つめる。

「夢野」

僕はそっと夢野に手を伸ばした。

そして、頬をつねった。

「痛っ!いきなり何すんだよ!」

夢野の声が教室に響く。

皆が一瞬驚いて僕達を見たがすぐに目を反らす。

「ははは!夢野、大丈夫だよ。
嫌な予感がしても、
これから先、何が起きても、
今は僕がいる。
夢野はもう1人じゃないんだ」

僕は笑顔でそう言った。
夢野は口元を緩ませる。
そして今度は僕の頬を思いっきりつねってきた。

「痛い!痛い!俺そんな強くやってないだろ!?」

夢野は「やられたら倍にして返す」と言って、
ようやく笑顔を見せてくれた。





















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