Revive


僕は夢野の言葉を聞いて、少し力が抜けた気がした。

「俺を屋上に呼び出すとあいつらは、
眼帯を外して谷川という男に右目を見せろと命令してきた。
つまり、谷川を殺してみろという命令だった」

夢野はみんなではなく、僕だけを見てそう言った。

「だが、俺は断った。
眼帯を外すことなどできない・・・」

谷川は夢野の右目を見ていない。
つまり、谷川の死は夢野の右目とは何の関係もなく
交通事故で亡くなった。

「俺は谷川ではなく、あの2人組に右目を見せてやると脅したら
逃げていった。ほんと、3年のくせに馬鹿だよな」

夢野と2人きりで話しているような錯覚に陥る。

「あの谷川って奴が死んだことは残念だが・・・、
それを利用して、あいつらは嘘をつき、
谷川の死を俺のせいにしたんだな」


夢野は、みんなの前で本当のことを話してくれた。

ここにいるクラスの生徒達は真実を知りつつある。

僕があとできることは・・・。



「夢野自身も、その右目に恐れてる。
眼帯をしている理由は自分のためだけじゃなくて、
みんなのためでもあるんだ。
夢野が言った「自分のせいで人が死んでいく」って言葉が僕には辛かった。
僕はそれが間違いだってことを証明しようと思う」


僕は顔をあげた。


「夢野の右目を見るのは、この僕だ」


みんなの表情は最初とは違っていた。
さっきの秋山と同じ目をしていた。

何かを信じようとする人の目だ。












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