Revive
「空野だ!!」
僕が教室に入ると、最初に田口の声が聞こえた。
その声でみんなが一斉に僕に注目し、集まってくる。
僕はあれからすぐに退院できた。
伊達に刺された部分は痛むことはなかったし、
もう普通に生活できる状態だ。
みんなの表情は、初めて僕が転校してきた時の表情とは全く違っていて、
明るい笑顔で僕を迎えてくれた。それが嘘のない笑顔だとすぐに分かった。
こんなに明るい教室を僕は見たことがない。
秋山は泣きながら笑っていたし、夢野は遠くで自分の席に座ったままこっちを見ていた。
僕はみんなに囲まれながら、こっちを見る夢野の姿から目が離せなかった。
さっきまで少年だった夢野が、もう高校生になっているような、
そんな感じがとても不思議だった。僕は倒れてから、夢の中でずっと少年の夢野と一緒にいた。
僕は夢野の方に近付いていった。
夢野はまだ眼帯をしている。
「その眼帯は、もう外せるだろ?」
僕がそう言うと、夢野は頷いた。
「そうだな」
そして夢野はすぐに眼帯を外す。
もう誰も夢野のことを恐れない。みんなしっかりと夢野の目を見ていた。
最初からこうであるべきだったのだ。
僕は夢野と話したいことが沢山ある。
けれど今はこの喜びを、みんなで分かち合えることが嬉しくて
僕達はいつまでも笑い合った。それは、みんなの心が一つになった瞬間だった。