Revive

願い




結局、僕が持っていた恋ノートは僕の物になってしまった。
秋山が「もう1冊持っているから」と言って僕にくれたのだ。
僕が持っていても仕方がないような気もするが、
とりあえず自分の部屋の机の上に置いてある。
僕はイスに座り、その恋ノートの隣に本を置いた。
夢野から渡された小説だ。
この本を見ていると、あの屋上にいる夢野の姿が目に浮かんでくる。
夢野はいつもこの本を読んでいた。僕はそれを思い出し少し微笑むと、その本をめくった。
夢野から1度、この小説の内容を教えてもらったことがある。
主人公が転校生だと言うことや、突然届いた不思議なメールによって
友達の死んだ母親にもう1度会うことができたり、
主人公がみんなの抱えている悩みを解決させていくのだ。
誰かのために行動する主人公。
僕がこの主人公に似ているなら、夢野はこの主人公の友達に似ているだろうか。
母親をなくした友。
この友は、主人公のおかげでもう1度母親に会うことができる。

夢野もきっと、母親に会いたいのだ。
もう1度会うことができたら、話したいことが沢山あるだろう。

僕は本をめくりながら色々なことを思った。
主人公の携帯に突然届いたメール。
アドレスにReviveと書かれていることから
リバイブメールと名付けることにした彼は、
これを使って周りの人達の願いを叶えていく。

もしこんなリバイブメールというものが
僕の携帯に届いたら、どうするだろうか。
簡単に言うと、このメールの本文に願いを打ち込み送信すると
その願いが叶うといったものだ。
僕は少しだけ、恋ノートに似ていると思った。

恋ノートも、自分の好きな人について書くといつか恋が叶うと言われている。

「リバイブメールか」

と僕は呟き、部屋の天井を見つめた。

今の僕だったら、夢野の母親や青木直弥の名前を打ち込むだろうか。


夢野は、「死んだ者は2度と生き返らない」と僕に言った。

しかし、物語には夢がある方が良いとも言っていた。



僕は気が付いたら恋ノートを開き、

そこに夢野のことを書いていた。

夢野の母親を生き返らせることなどもちろんできないが、

僕が少年の頃の夢野に会えた時と同じように、

夢野も母親と出会えるように願うことにしよう。

少年と会えたのは夢の中だけだが、

本当にあの頃の夢野と話ができたような気がしている。


僕はもうあの少年の夢を見なくなった。

最後に見たのは、綺麗な涙を流しながら僕を見て笑っている姿だ。

あの笑顔を、僕はいつまでも忘れない。

今の夢野の優しい笑顔を見るたびに、いつでもあの少年が
僕の頭の中に浮かび上がってくるからだ。



恋ノートを閉じて、

僕は再び本を読み始めた。

「Reviveとは、生き返ること」

僕はそう呟いて微笑んだ。





僕達はきっと、この先何が起きてもずっと一緒だ。


僕はこれからも父の言葉を信じ、助け合い支え合いながら生きていくだろう。








































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