文学少女とスイートプリンス



ねだるような声が拗ねたような声に変わっていく。


聞こえるけど聞こえません。



『ちゅっ』


「(ぴく)」


『ちゅっ』


「(ぴくり)」


『ちゅっ』


「いい加減にして下さい!!」



ばっと後ろを見ると、すごく満足そうな笑顔。



………まさか



「やっとこっち見てくれたね」


「………っ、」



もとの位置に戻そうとするけど遅かった。


頭を固定されて動くことができない。



………やられました。



「ゆゆ、かわいー」



あぁ、もう……そんなに甘い顔で、声で、言わないでほしい。


あなたのそれは毒なんですよ。


あなたが気づいていないだけで、みんなその毒にやられているんですよ。



「ゆゆ……ちゅーしたい」


「さっきまで散々していた人のセリフですか、それ」



しかも真面目な顔で何を言うかと思えば……






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