文学少女とスイートプリンス



「ゆゆー…」


「……さっきまでしてたじゃないですか」


「あれは耳だったでしょ」



キスに含まないよ、と言って甘く微笑む。



………いやいやいや。


それもキスの一種ですよ。


辞書で調べたとき唇以外でも手とか頬とかありましたからね。



まぁ、とにかく…



「いやです」


「えぇー」



ガッカリしたような声を聞いてもいやなものはいやなんですよ。


さすがに恥ずかしいんですよ、あれだけたくさんされると。


いくら他の人がいないからって……



『ちゅっ』


頬に感じた温もり。



「……わたし、さっきいやって言いましたよね?」



それともわたしの勘違いですか。



「だって我慢できなかったんだもん」


「そこは我慢して下さいよ」


「ムリー」



無理って……


ぐっと引き寄せられて顔が近づく。


おでこが触れあって、お互いの息がかかって……


少し恥ずかしい。





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