文学少女とスイートプリンス
くすくすと甘樫くんが笑う度に前髪がさわさわ揺れる。
……くすぐったいです。
「だってさー?」
「はい?」
「ゆゆがかわいすぎるのが悪いんだよー」
「……はい?」
いきなり何を言い出すんですか甘樫くん。
「頬っぺたとかはほんのりピンクで、オレを見る目はうるうるなんだもん。我慢しろって方がムリな話だよー」
「そんな自覚はないですが」
「無自覚?じゃあもっとゆゆが悪い」
……わたしが悪いんですか。
何もしてないと思うんですけど。
むしろあなたの方が悪いと思うのですが、そう思うのはわたしだけですか。
ぐるぐると考えていると、ちゅっと唇に感じる温かさで現実に戻ってくる。
一番に目に入ったのは、当たり前に甘樫くんの顔。
……ちょっと不機嫌に見えます。