文学少女とスイートプリンス
「……なんですか」
そんな顔して。
「ゆゆはオレのことだけ考えていればいいの。
他のことは考えないで」
「……横暴ですね」
「オレはいいの」
と、いいながらちょっと嬉しかったりしますね、はい。
「ゆゆの彼氏は誰?」
「愚問ですね」
少し拗ねたような顔をしている甘樫くんを見て、わたしは笑みを浮かべる。
そんなの……
「リオンに決まってるじゃないですか」
そう言うと嬉しそうに笑ってわたしに甘いキスを降らせる。
わたしは文学少女と言われて、本が好きでいろいろ読んではいるけど、恋愛ものは読みません。
なぜなら……
「ゆゆ、好き。大好き」
「……わたしもですよ」
甘い恋愛は、現実だけで十分ですから。
Fin.