【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
「だけど、好きな人に求められるほど
嬉しいことなんて、なくて
俺、中学生でバカだったから、いいかなって思って
軽い気持ちだったけど
内心ドキドキでさぁ
そんときはぴちぴちの童貞だったから」
「………はは」
「やりだしたらわけわかんないくらい気持ちよくってさあ
頭真っ白になって
盛り上がっちゃって盛り上がっちゃって
気づいたときには手遅れだった」
生々しい体験談を
今
本人から聞いている。
少しだけ嬉しかった
隠さないで
いってくれることが
「子供、なんて、全然頭になくって
聞かされたとき、
ヤバイって思った反面
少しだけ、
高揚したんだ
自分と好きな人の子供なんて
人間ってすごいなぁとかさ
バカだよね」
「…そんなこと、」
「だけど、アミさんはそうじゃなくて
めちゃくちゃ言われたよ、そりゃ俺も制御できなかったの悪かったけどさ
初め誘ったのそっちじゃんって
けど、結局なんの反論も出来なかった
こういうとき責任とんなきゃならないのって絶対男だから
何いったって無駄って思って
色んな人に頭下げてさぁ、
結局、アミさん中絶に決まって
将来のこと、子供のこと
色々考えてたのに
アミさんにも一生会わないって約束されて」
マヒロくんの腕から
ひしひしと伝わってきた。
アミさんへの愛情が
慈しみが
こっちまで
ドキドキしてしまう。