【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
画面には送信完了の文字が現れ手遅れだったことを示した。
これで返信こなかったら私どうしたらいいの?
何にも気にされなかったらどうしたらいいの?
まあ、そんな心配しなくてていいか…?
どっきりだし
キノがどんな反応するのか少し興味がある。
「高橋さん、飲み物もってこよーか?」
「あ、うん、あの、今何時?」
「ん、6時40分」
「返信すぐ来るかな」
「さあ?」
マヒロくんは片手をひらひらさせながら部屋を出ていった。
私ははだけた制服を直しながらマヒロくんの携帯をじっと見つめた。
マヒロくんのはスマホだけどキノはガラケーだからラインじゃなくてメールを送らなければならない。
読んだのか読んでないのかもわからない
帰っていいのか帰って悪いのかもわからない
いつも家には7時過ぎには帰るわけだし
あんまり遅かったらまたこっちから連絡しなきゃ。
キノとは毎日メール交換してるわけじゃない。
するときはいつもキノから明日の時間割教えてとか課題なんだっけとかだし。
そんなことを考えていると
マヒロくんの携帯の画面がパッとつくと
キノの文字が表れた。
キノからのメールだ。
うわっちゃんと来た。
携帯を手にとって勝手に見ていいものか迷う。
見るだけならいいよね
すぐマヒロくん来るし
けど、ロックかかってんじゃない?
そう思ったが意外にもロックはされていなかった。
指をスライドし、
私はキノから来たメールを開こうとする。
いいかな
いいよね
いったい何て返したんだろ。
さっきから5分もたってないし
返信はやいっちゃはやいな。
キノ、家に帰ったのかな?
いったい何を書いてくれたんだろう。