【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―
キノのメール
たった一行の絵文字もない短い文
それを見た瞬間
私は5回見返した。
………キノ?
「………キノ…」
もう一度しっかりとメールの文字を読み返してみた。
【ごめん】
なんだろう
この気持ち
嬉しくもない
落胆もしない
悲しいわけでもない
ただ
予想していたどの言葉とも違って困惑した。
「電話、早く、キノ…」
私は自分の携帯をとりだし少し震える指をスライドさせキノに電話をかけた。
キノは騙された
だけど
焦るでも怒るでもなく
謝った。
その三文字が
いやに重々しくのし掛かってくる。
いつもと違う
そう感じたからだ。
このごめんはどう受け取ったらいいの?
なに
なにいってんの
五度目のコールで
キノが電話に出た。
「キノっ!!?」
『……タカ?』
元気のない声
とにかく早く誤解を解いてあげないと。
キノはすっかり信じてるらしいし
「キノ、あのね」
『ごめんね、タカ』
何がごめんねなのよ
話そうとしたのに断ち切られキノは話し続けた。
電話の向こうから
川の流れる音が聞こえていた。
『俺、タカの側にいられなくて』
「誤解だから、ねえ、今どこにいるの!?」
『××川のとこ、
タカ、マヒロと仲良くね』
「だから、誤解だってばかっ
直接話そう、待ってて、すぐに行くから」