【完】宝探し―世界で一番愛しい人は―

キノの唇が離れると首筋をくすぐり胸に行き着いた。
私はキノ手を握りしめながら目をつぶった。



こんなところでこんな不謹慎なこと…


けど、ドキドキする…




「あっ、や、やだぁキノ…キノっ、あんっ、」


「…タカ、可愛い…、」


「やだやだ、そんなとこ、触っちゃいやっ…ふぁあ…」



キノの唇に翻弄される胸と
キノの大きな手が太ももに触れるとスルスルとスカートの中をまさぐる。


く、くすぐったい


だけど、幸せ


キノとこんな風になれる日がくるなんて夢にも見なかった。


キノが大好きだよ


キノに全部あげるからね





「キノっ…」


「タカ…」



キノの顔が再び顔に近づき私は荒い息を整え目をつぶった。


…………………


あれ?キス遅い…




うっすらと目を開けてみると



キノの姿がなくなっていた。


えっ!!?


私は半裸のまま立ち上がってあたりを見回した。

するとキノが

フェンスに向かって駆けていた。


その先には

オニヤンマがいた。



「キノっ!?」


「わぁああ!!でっけー!!オニヤンマでけー!!」


夢中でオニヤンマを追いかけるキノ


ちょっと


どうゆうこと!!?


エッチの最中にキス待ちしてる彼女置いてオニヤンマ追いかけるとか頭いかれてるんじゃないの!?


ため息をつきながらキノの背中を見守っていると


オニヤンマがフェンスの向こう側に飛んでいった。


あーらら

もう捕まえられないね


どうするのよこの状況。

エッチしたいって言われたのこっちなのに

雰囲気ぶち壊しも甚だしいわ。


キノがとぼとぼ帰ってくるのを思い浮かべながら待っていると



あろうことか


キノはフェンスに手と足をかけて



跳んだ。






「!!!!?」



青空に向かって高く跳んだキノの手のひらから

するりとオニヤンマはキノを嘲笑うかのように飛んでいった。



キノはオニヤンマと反対に垂直に落ちて行く。



嘘だ



こんなアホな話あるわけないじゃんっ!?



「キノーーーーーーーー!!!!」



無意味な叫びが



空に響き渡ると



涙と汗がぽたりと滴った。



キノ



やだ


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